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みえ木造塾2005 第1回 講義記録
日時  H17年5月28日(土) 午後1時30分〜午後4時30分
場所  松坂地区木材協同組合 木の情報館
講師  植久哲男氏、趙海光氏
テーマ 再出発!木構法

 「住宅建築」編集長である植久氏は昨年木造塾での丹呉、山辺両氏の講義の折に同行されてご挨拶をいただいたという経緯があり、今回は第一回目の講義をお引き受け頂いた。
住宅建築誌上にもよく登場される趙海光氏とお二人での前半、後半を分けた講義となった。
植久氏からは戦後の木造建築の歴史との関連を通して現在の状況をお話いただき、趙氏からは、その中の個別事例として現代型木造の試みについてのお話を聞いた。

講義概略
<植久哲男氏〜木造の伝統と現代>
 戦後の木造を考えると 終戦から’85前後までは大規模木造の空白時代だったといってもよく 85から木造の復権、そして’95の阪神大震災の後もう一度復権したと言える。 その空白時代の中にも’78の高須賀晋と’76の小川行夫に大規模木造の見るべき物がある。高須賀晋は伝統的な木造をいかにモダンにしていくか、真壁構造ながら柱を消してプロポーションを整えることを試みており、吉田五十八や吉村順三に通底するものがある。 一方、小川行夫は渡りあごの梁組やシャチ栓を使って大工技術を意匠的に見せる、ということに特徴がある。 当時国産材を使うという発想はなく、殆どが米松だが、米松というだけでピーラーのようなきれいな物が入った時代でもあった。 その後、国産の並材を使って住宅を建てる国産材ハウスの動きが起こり、民家型構法を主張する現代計画研究所から独立した三澤夫妻による自邸が発表されたのが’85となる。 金物を使わない国産材による住宅の流れを起こしたと言えるが、その後阪神大震災を経て彼らはDボルト使用に至っている。 丹呉氏などを含め現在は第2の木造復権の時代といえるだろう。 <趙海光氏〜木をめぐる冒険>
 石山修武氏の「高山建築学校」に長く在籍。 大工には叶わないと感じることが多く、自分にでもできる木造として考えたのが、間伐材を使った集成材を多用した「台形集成材の家」。 「風のランナーの家」では4寸×7寸の梁材を柱に使用し、断面欠損を少なくする工夫をした。 また、金物が露出することを避けるため、Dボルトに似た「鬼に金棒」という金物を使った。 「編集者の家」では奥久慈の桧を使用し、工務店と組んで様々な製材機械の活用を考えた。 それぞれの地域にある技術を生かせば、現役で尚かつ品質に見合った価格が可能だと思う。 設計者と大工が共に生きるためには、
1.技術が現役であること  2.技術が等価であること  3.技術が集団的であること  4.できあがった物が匿名的であること の4点が大事であると考えている。












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みえ木造塾2005 第2回 講義記録
日時  H17年7月2日(土) 午後1時30分〜午後4時30分
場所  松坂地区木材協同組合 木の情報館
講師  戸塚元雄氏
テーマ 地域材住宅の標準化に向けて〜民家型構法の実践〜

 四国産杉材を用いた地域型住宅づくりを実践する建築家の戸塚元雄氏を講師にお招きし、大工棟梁の六車昭氏(第3回講師)との協働、NPO法人「木と家の会」での実践を通じ、民家型工法そして地域材住宅への取り組みなどを、実例を交えて講義いただいた。
講義概略(講師講義草稿より転載)
●民家型工法の登場の意味(画期的な提案であった)
1、住宅と林業のとの関係を示したこと
  国産材が横架材として使える(米松が当たり前の時代に)主材として。
  4m(13尺)という定尺(米松との違い)、使い方を「構法」として示した
2、「構造体(=軸組み)のシステム」を住宅設計の中心にすえたこと
  先ず、構法から考える(設計を構造から始める)。
  「間取り→構造」でなく、「構造の秩序」に生活を当てはめる。
  →阪神淡路大震災以後の状況(木構造解析の進展)を先取り
3、「量」に対する意識を含んでいたこと
  単なるデザインパフォーマンスではなく、新しい国民住宅(スタンダード)と
  して構想された →この視点は受け継がれていない(木造住宅への関心
  は高めたが、標準化は進んでいない)
4、ネットワークという新しい生産体制を生んだこと(山への関心)

住宅を「システム」「生産」という視点から捉えなおす
「もう少し生産の問題に立ち入って、
ものづくりを面白くする努力をして見ませんか」(内田祥哉)
●地域材住宅の限界
 各地の地域材住宅は多かれ少なかれ民家型構法から影響を受けている
(構造を体現し、構法=伝統型技術の重視)
20年間で地域材住宅は日本各地に広がった(成功したかに見える)
しかし、1%の限界を超えられない→「量」の問題は解決していない
本当の意味での住宅(まち)と林業(山)の連携はできていない原因は二つ考えられる
標準化の遅れ(産業としての基盤ができていない)
標準化とは共有ルールを作ること寸法のルールすらない(柱材はある、2×4に学ぶ)
生産・環境にかかわるがゆえに、それを越えた一般性を獲得できない

●NPO木と家の会の取り組み
標準化については ・「木材規格」をベースとした設計方法の普及と山側の供給体制
作りへの協力  →嶺北プロジェクト
 一般化については ・新しい住宅のつくりかた、住み方の提案
 →提案型住宅プロジェクト「サンゲンカク」













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みえ木造塾2005 第3回 講義記録
日時  H17年8月6日(土) 午後1時30分〜午後4時30分
場所  松坂地区木材協同組合 木の情報館
講師  六車 昭氏
テーマ 『杉の木の家づくり』〜六車工務店の仕事〜

講義概略
六車工務店でこれまでに建設された住宅の映像を見ながら、家づくりに対する棟梁の思い・仕事方針等を語っていただきました。
○ 仕事の仕方
  板図に全ての情報を書き込む。(これさえあれば仕事ができる)
  墨付け棟梁・きざみ棟梁
  加工場にて、全ての部材を製作する。(現場でのロスタイムを無くす為)
  現場では、建てることに集中する。
○ 木材の使い方
  2年くらい倉庫内で自然乾燥させてある中から、乾燥具合をみてこの木を
  何日後に加工するか決める。
○ 大工として
  大工も知識が豊富であること。
  人の仕事を見ること。人の仕事を見ることによって、自分の技量を知る
  ことができる。

講義を聞かせていただいた中で一番印象に残ったお話は、六車工務店さんほど仕事を沢山されていてお弟子さん達も沢山育てていても「息子さんが大工になってくれたことが一番心強かった。」という言葉でした。













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みえ木造塾2005 第4回 講義記録
日時  H17年9月3日(土) 午後1時30分〜午後4時30分
場所  三重県科学技術振興センター林業研究部
講師  三重県科学技術振興センター林業研究部 岸氏 並木氏
テーマ 「実践活動、耐力壁破壊試験」
                   〜オリジナル耐力壁を実際に壊す


本年の実践活動として、耐力壁破壊試験を行うこととなった。
初めての実大実験の耐力壁として、2体の耐力壁が用意された。
材料は宮川村森林組合のご好意で、杉材を無償でいただけることとなり、オール杉材で造る事となった。

耐力壁試験
 1体目は、「杉巾ハギ板倉工法間柱クサビ止め」という工法で、柱と柱の間に巾ハギ板を落とし込んで一体の壁とする工法で、今回は巾ハギ板の横ずれ等に配慮して間柱を入れるなど工夫を凝らした試験体である、またこの試験体は、今年の11月に宮川村にて建設予定の「木造応急仮設住宅」で使用する工法で、その仮設住宅の検証もかねた実験でもあった。
 2体目は、「通し貫+足固め+桁固め」と名づけられた工法で、これは日本の伝統的な工法に工夫を加えた工法で、現代の筋交い、金物工法に逆行するものであるが、伝統工法の検証という意味で非常に興味深い。
 今回の耐力壁の試験方法は、タイロッド式で無載荷式で横方向へ荷重を加え壁の丁部を押し引きする形で行われた。 最初は1/450radから徐々にせん断変形角を大きくしていき、最終的には1/30radまで同一段階で3回の繰り返し加力をいっていった。
途中、林業研究部の岸氏による解説も入り、結果から壁倍率として数字を出すのには、データの分析が必要ということで、次回の講座でのお披露目となった、次回の講師、構造家の山辺氏に解説を依頼するとのこと、非常に楽しみである。
 今回の講座には、木造塾の塾生のみならず、この実験を一目見ようと多くの参加希望者が集まった、今後もこういったデータの残る実験を続けたいものである。

研究実績の紹介
 実験終了後、今回お世話になった三重県科学技術振興センターの研究実績を、同センターの並木氏よりご紹介いただいた。
このセンターで特許を取得された、「木材被覆鋼材」の解説は非常に興味深く、H鋼に厚さ60ミリの米松材を被覆したもので、炉の中で1000度程度で加熱燃焼させても、鋼材表面温度はピーク時で150度程度と非常に低く、高い遮熱性能を発揮している、そのほかセンターではさまざまな活動をされており、非常に心強く感じ、是非またここで実験活動の指導を仰ぎたいものと感じた。













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みえ木造塾   第5回 講義記録
日時  H17年10月01日(土) 午後1時30分〜午後4時30分
場所  松坂地区木材協同組合 木の情報館
講師  山辺 豊彦 氏
テーマ:現場で役立つ!やさしい木構造1

 塾長の開始挨拶で本日の講師、山辺豊彦氏の紹介があった。
氏は昨年より引続き、今年度は第5回と6回の2日間の講義をお願いしている。
そして氏のバイタリティーあふれる講義は、参加者の半数以上が知っているので、満満の期待感を持ったところで、今回の講義の幕開けとなった。
山辺豊彦講氏より配布されたテキストをもとに、表題とおり初歩的なところから、肝心要にせまる要点などを、理論的であるがわかりやすい講義となった。
そして後半には、第4回に行われた耐力破壊試験の様子をビデオ上映して、氏の耐力壁についての見解や、耐力破壊試験方法のアドバイスがあった。スピード感と疲労感を持ち合わせた3時間の講義であり、時間惜しげに幕を閉じた。

講義概略
 はじめに、最近よく話題になる地震災害について耐震設計の目標とするところから入った。
それは
@中小の地震(震度5弱)については無被害
A大地震時では、損害は許容するが生命財産は守る、とのことである。
そして具体的に地盤および基礎の考え方から説明された。
粘性土と砂質土の長期許容支持力の違いや、深度による自沈層の層厚と圧密沈下量の関係など。
新潟の中越地震のケースなど例に取り上げた。
そして次に木構造。
その基本構成要素、「柱梁などの軸組み」×「耐力壁・鉛直剛面」×「床組み、小屋組み・水平剛面」の三角関係とその接合部の考え方を話された。
さらに力が入ったのは層間変形角の問題である。
2階建ての建築が水平力を受けた時、階別に許容される変形角数値の求め方を図説で表した。そして壁倍率1倍とはどのようなことを意味するのかをわかりやすく説明された。さらに床面の作り方、配置など、その先行破壊防止としての役割が重要とされた。 休憩後、第4回の耐力破壊試験のビデオを見ながら、柱のズレ・板の座屈・柱との取り合い・板材の乾燥・めり込利用などについての解説。
そしてその試験体の結果シートの作製や、試験の継続の重要性をとなえ、さらにはビデを撮影の要点までも丁寧にアドバイスをいただいた。
氏のテンポよく、熱の入った講義はあっという間に過ぎ去り、参加者全員が次回に続く講義を楽しみに会場を跡にした。










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みえ木造塾   第6回 講義記録
日時  H17年11月12日(土) 午後1時30分〜午後4時30分
場所  松坂地区木材協同組合 木の情報館
講師  山辺 豊彦 氏
テーマ:現場で役立つ!やさしい木構造2

 昨年、今年と、山辺講師の分かりやすい講義は、他の県の木造塾でも評判である。今回は通算では、第4回目の講義とあって、内容も総まとめ的なものとなり、熱をおびた構造システムや、木材の高温乾燥の核心に迫るとともに、受講生を惹きつけ、予定時間を越えることとなりました。 前回は、耐力壁の破壊試験の解説のほか、地盤の強度についてもお話をいただきましたが、今回は、実務の中で、耐力壁の配置や、バランスについて分かりやすく解説をいただきました。そして、木構造の両極にある、民家型、渡りあご等の、システムの特徴をお話いただき、雑誌掲載の内容を細かく解説いただき、ある意味、今までの総まとめとして2005年のみえ木造塾を締め括っていただきました。
講義概略
 耐力壁の配置については、入り組んだ凹凸のあるプランの場合、それぞれブロッキングして、ブロッキングごとに計算し、検討していくという事です。また、両極にある民家型構法と、渡りあご構法といった、伝統構法のそれぞれの特徴について触れられました。渡りあご構法の場合の床の剛性は、低いということを甘んじて受け入れ、それを特徴として意識して捉える事により、自分達の構法に辿り着かれたとの事です。 水平変位については、今の基準である、1/120という数字が定められたとき、国内には、木構造に詳しい構造家が居られなかったとの事でした。そのときの罪滅ぼしとしての意味もこめて、これからは、1/90という数値を目標にしているとの事です。後半は、さまざまな実験結果により実証された内容も解説いただきました。土壁に用いる土は、関西の方が、1.5倍の強度があるという事です。現場で、大工さんが考えた、現場からの新しい発想として斜めに込栓を打つ方法で強度が出たとの事です。構造強度については、42条2項の、JAS規格であれば、集成材と同じように許容応力度による設計とすることができ、壁量によらなくても良いとの事です。しかし、含水率が問題で、15〜20%となっている為、高温乾燥材の振興を図ってしまうのです。通し柱の耐力を上げる方法としては、胴差を貫通させる引っ張り金物をつけて補強などを行うとのことでした。全てに高温乾燥材を使わないというのではなく、伝統構法では、込栓に負けてしまい、ホゾが抜けてしまうなどの問題が出て使えない為、金物構法等、住み分けて活用することが重要ということです。 2004年、2005年と、構造システムについての講義は、回を重ねていくごとに、専門的になっていきますが、まだまだ、学びたい部分もたくさんあります。これからも、ぜひとも役に立つ木構造の講義を受講したいと感じました。 最後に、全6回を受講された塾生に、記念品が贈られ、2005みえ木造塾は、熱気に包まれ、次年度の企画に期待を込めながら終了致しました。








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