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みえ木造塾2006 第1回 講義記録
日時  H18年6月3日(土) 午後1時30分〜午後4時30分
場所  松坂地区木材協同組合 木の情報館
講師  上村哲司氏、小泉宙生氏
テーマ 山とまちをつなぐ木の案内人〜吉野・フロンティアの試み

 吉野で銘木市場に生まれ育ち、バブル崩壊を期に地元に戻った8年前から杉の並材を扱い始めた上村氏にこれまでの経緯や木に対する考え方、実際の活動内容をお話し頂いた。また3年前から社内に設計部を置いたことから、設計部在籍の小泉氏にも同行頂き、設計活動の話や材料に対する意見をお聞きした。また、後半は木造塾企画運営委員2名も参加してのミニパネルディスカッションとし、会場も含めて意見交換を行った。
講義概略
<上村哲司氏>
祖母が立ち上げた銘木市場で生まれ育つ。吉野には25000haの林業の集積があり、特に吉野杉の銘木としての価値は確立している。20年ほど前の父の時代は樹齢250〜300年の木をどんどん製材したよき時代であったが、生家に戻り家業を継いでみると銘木としてプロの眼に偏って追求し過ぎている所もあり、閉塞感を感じた。銘木でない木の使い方を求めM’s を訪ね、納材を依頼されたことから発展して並材を扱うフロンティアを設立。在庫を蓄え、納期を短縮することを目指している。設立当時は杉一等材を扱う事自体競争力がなく、顧客を山に案内して説明したりして啓発にも努めている。吉野材は元来仕入れ値が高いので売値も高く設定せざるを得ないという宿命があるが、努力によっては良いものを安くできると考えている。木材の乾燥方法や含水率については問題が多いと感じており、未だ試行錯誤の状態。プレカットが前提ならばドライングセットによる高温乾燥が一つの答えだと考える。その他、背割りを入れた低温乾燥、葉枯らし等も行っている
<小泉宙生氏>
M’s出身の設計者。施主に対して設計の立場で木の説明や木の良さを伝えたい、という上村氏の考えからフロンティアで設計担当。無垢材であることに価値を見いだす一般施主に対し吉野は後進的と感じている。杉のパネルの製造に着手し、引き合いが多い。工事費の中で木材費がグレーゾーンになりがちなので、先行して施主に分離発注してもらうこともあり、メリットがあると考えている。設計と材料双方に関わっていると品質管理に関われるのと在庫を考えて設計ができるのが大きな利点だろう。
<ミニパネルディスカッション>
司会  :中西修一(みえ木造塾塾長)
パネラー:上村哲司氏、小泉宙生氏(フロンティア)
萩原義雄氏、宮崎重則氏(みえ木造塾企画運営委員)











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みえ木造塾2006 第2回 講義記録
日時  H18年7月1日(土) 午後1時30分~午後4時30分
場所  松阪地区木材協同 木の情報館 (ウッドピア松阪内)
講師  安藤邦廣 氏
テーマ 『板倉の家づくり』      〜民家の変遷と現代の家づくり〜


講義概略
 講義に先立ち、安藤氏は三重県での思い出を語ってくれました。 サブタイトルにも書かれているように、「民家の変遷」の研究もされている安藤氏は大学を卒業した頃、尾鷲地方を旅して、地元の建物(土井家)を見せてもらった事が印象に残っていると語ってくれました。民家の研究で日本各地を回っていたときに、長野県茅野市で「井籠平組み」の土蔵に出会ったそうです。 井籠の組み方の基本は、平側と妻側の部材を互いに欠き込み、交互に重ねて積み上げることで頑丈に組める構法だそうです。このような建物との出会いにより、安藤氏は『板倉の家づくり』に取り組むことになったそうです。板倉の家づくりについては、講義当日販売しました安藤氏の著書「住まいを四寸角で考える」などで紹介されていますので説明は省略させていただきます。現在は、壁倍率の認定も習得され、板倉の家づくりが全国各地に広まっていくよう活動されているそうです。 講義翌日、企画委員会の一部メンバーで関の町並みを案内させていただきました。案内させていただくはずでしたが、町並みの見方・蔵の構造など実際の建物を見学しながら番外編講義をしていただきました。









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みえ木造塾2006 第3回 講義記録
日時  H18年8月5日(土) 午後1時30分~午後4時30分
場所  松阪地区木材協同 木の情報館 (ウッドピア松阪内)
講師  八木下宏之 氏(大工)・根岸徳美氏(建築家)
テーマ 「鎌倉のサンゲンカク」       〜小さな木の家からはじまる地域工務店の挑戦 〜 
地域材を使った伝統構法の住宅を、身近に感じてもらう為に考案された、設計者、施工者のそれぞれの思いを聞くことが出来ました。

講義概略
 設計者として、基本となる部分は3間四方の基本フレームとし、その周囲に”部品”(水廻り、玄関、土間、納戸)を配置し、”基本”と”部品”を別構造とすることにより、敷地に対する柔軟性、自由度、メンテナンス性を高めた。

サンゲンカクとすることにより、部材の規格化、定尺材の利用、壁量計算のスタンダード化、施工費用算出の迅速化、施工能力の向上を目指した。

 施工者として、材の乾燥は、伐旬に伐採後葉枯し(3月程度)、木取、製材後背割天然乾燥(3月程度)、その後刻みに入る。

工事契約前の段階で、構造模型を制作し実際の難易点を確認した後、細部まで拾い出し積算、その後契約着工という流れだそうです。

外部には柿渋を塗布(化粧面+裏面まで)することが多く、紫外線のによる色彩の変化が、竣工後の楽しみ。

伝統構法+新しい発想+地域材使用で、住まい手の理解、大工技術向上、地域産材の使用、お互いの融合がもっと増えてゆくことを願います。











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みえ木造塾2006 第4回 講義記録
日時  H18年9月02日(土) 午後1時30分~午後4時30分
場所  三重県科学技術振興センター 林業研究部
講師  山辺 豊彦 氏
テーマ 現場で役立つ!やさしい木構造3     〜実践活動、実感できる実大構造実験〜

 私たちが常日ごろ、設計段階あるいは施工現場で直面するさまざまな問題のなかで、今回は梁材のたわみについてスポットをあて、リアルな理解を深めるため1/1の梁材を曲げる実大構造実験を行った。昨年同様、林業研究部のスタッフの方々、多くの木造塾生、そしてそして構造家の山辺先生に立ち会っていただき、昨年同様、科学技術振興センターでの構造実験は時間いっぱいまで実験を行った。
講義概略(講師講義草稿より転載)
使用する樹種は杉材、支点間距離は3640mmで、その中心に鉛直荷重(P)をかける。そのたわみを(δ)計測した。

サンプル1:平角120×270
サンプル2:平角120×270・端部切欠き
サンプル3:平角120×240
サンプル4:平角120×240・背割れ
サンプル5:平角120×240・高温乾燥
サンプル6:平角120×240・両端に大梁
サンプル7:平角120×240・小梁あり
サンプル8:平角120×240・高温乾燥
サンプル9:太鼓丸太末口230φ×巾150


 構造計算は難解極まりなく、少数の人々のテリトリーだと思われている。建物荷重の設定方法や、横からの耐風圧、そして応力の流れ方など、さまざまな検討が必要であり、建物全体で考えると緻密で高度な計算テクニックが必要だ。 参考図の「断面2次モーメント計算」は今回の実験を視覚的にとてもよく表した公式である。梁スパンと梁にかかる荷重とそのたわみ寸法。そして断面2次モーメントとヤング係数。この公式と使用梁材料のヤング係数さえわかれば、日ごろの設計作業でなんとなく経験値で設定していた梁部材を、理論的に設定することが出来る。今回の実験は複雑な構造計算の扉を一枚開けたような思いがした。

※別紙: 表1  表2  参考図













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みえ木造塾2006 第5回 講義記録
日時  H18年10月14日(土) 午後1時30分~午後4時30分
場所  松阪地区木材協同 木の情報館 (ウッドピア松阪内)
講師  山辺 豊彦 氏
テーマ 現場で役立つ!やさしい木構造3     〜実践活動、実感できる実大構造実験〜

 前半、9月の実大構造実験を行った結果データを基に山辺豊彦先生に解説して頂く。破壊された実験材料を持ち込みもう一度考察。後半は木構造の考え方を解説。その後、梁のたわみ量を考え、問題を出題。各自計算をして梁の寸法を算出した。

講義概略
山辺氏の梁試験の結果解説
・ 端部の切り欠きには注意が必要
   許容変形量(1/250)になる前に破壊してしまう為
・ 上部の背割りは変形量にほとんど影響なし
・ 高温乾燥材は立ち上がりがよく、結果だけを見てみると良いように考えられるが使用場所等、考える必要あり
今回の実験結果は試験体梁の特性を知るのによい結果となった。と山辺氏の評価があった。
木造住宅の構造的重要な役割は、屋根、床、基礎、軸組、壁がある。接合部、壁(耐震壁)のバランスを考え設計することが必要。また梁の、含水率とクリープ現象の関係、たわみの変形増大係数を2倍してスパンの1/250とすることの必要性を解説。 高温乾燥材を使用した伝統型仕口の危険さ(長ほぞ込み栓の破断、通し柱の仕口の破壊) 木構造を設計するとき、梁伏せ図、軸組みを書いて検討。継手等も同時に考えるのが望ましいとのアドバイスがあった。 休憩をはさんで、梁の断面算定の演題を用いて、各自算出。解説を交えて講義。 無事終了となりました。今回も解りやすく内容ある講義で塾生全員熱心に聞き入っていました。









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みえ木造塾   第6回 講義記録
日時 H18年11月11日(土) 午後1時30分〜午後4時30分
場所 松阪地区木材協同組合 木の情報館
講師 松井郁夫氏
テーマ 「むかしといまをみらいにつなぐ」〜いまなぜ「木組みの家」なのか

松井郁夫氏は、街並で有名な福井県大野市の出身で、現代計画研究所在籍時は、都市計画やアーバンデザインを担当され、独立されてからは、全国街並保存運動に参加、阪神淡路大震災を機に、伝統構法の復権に立ち上がられました。現在では、国土交通省が主催する「大工育成塾」の講師として、伝統構法の継承にも積極的に取り組まれています。また講義の中でもふれられた「職人がつくる木の家ネット」「ワークショップき組」等の発起人として幅広く活動されています。主な著書として「木造住宅『私家版』仕様書」(共著/エクスナレッジ)、「『木組みの家』に住みたい」(彰国社)などがあり、特に伝統の知恵をまとめ上げられたこの2冊は、木造住宅の設計を行なっていくうえで貴重な蔵書なのです。胸の高鳴りと期待感を抑えきれないまま、講義がスタートしました。一見、怖そうに見える独特の風貌とは裏腹に、優しげな語り口で、「職人」「素材のつくり手」「家づくりのつなぎ手」「環境の視点」という専門分野に分けられた地球環境も含めての解説は、とても解かり易く、理解力を深めると共に、本年度の講義を締めくくるにふさわしい充実した内容となりました。 「むかしといまをみらいにつなぐ」〜伝統構法を設計に取り入れていった背景には「荒れ果てる山=植林できない。」「消える大工技術=腕を振るう場がない。」「木の家は高い=価格が見えない。」というさまざまな現状の問題点が見え隠れしている。そして、それらの問題解決に向けた各分野に求められる要素として、1.行政の役割「地元の連携作りリーダーづくり。」2.山側の役割「性能の確保、乾燥、強度、精度・川下を意識した家づくりを知る。」3.設計者の役割「伝統に学び流れを作る(作品をつくるのではなく、流れをつくる)美しさの追求。」4.工務店の役割「価格の透明性後継者の育成。」5.住まい手の役割「環境認識、公の認識。」などが挙げられる。 〜いまなぜ「木組みの家」なのか〜自然との共生、「自然は生物にとって生活の機会である。」 これからの家づくりとして。
1.山を知る―ふるさとづくり。2.木を使う―循環する資源。3.長寿命の家―丈夫な骨組み。4.職人技術の復権―木組みの家づくり=共存共栄の家づくり。5.音熱環境を考える―Co2削減。 家づくりに大切なこと。
1.木を理解する―長所短所適材適所。2.人のつながり―パートナーシップ。3.長く使える間取り―変化に対応する開放的空間。4.長く使える骨組み―架構と間取りの合致。=古民家に学びましょう。 具体的事例はどれもこれも骨太で構成されているが、架構の美しさに見とれ感動する。 本年度最終講義とあって、みえ木造塾に関するアンケートが実施された。恒例となった皆勤賞の記念品授与式は、松井郁夫講師より授与された。 みえ木造塾は、開塾から3年が経ち、木の葉の滴、大河の一滴から、今まさに新しい流れを形成したように感じる。近い将来、有志グループによる実践活動での活躍や、「木の建築フォラム/尾鷲」を計画する等、確実に本流を形成していくような大きな流れとなっていく予感がする。また、具体的な先進事例の紹介や、実大実験は、新しい可能性となって塾生達に自信と勇気を与え続けてくれるのです。来年も、いや、末永く夢と希望の実現に向けた、「建築教育」「人間力教育」の場であり続けて欲しいと願い報告を終わります。








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