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みえ木造塾2007 第1回 講義記録
日時  H19年6月9日(土) 午後1時30分〜午後4時30分
場所  松阪地区木材協同組合 木の情報館(ウッドピア松阪内)
講師  吉田桂二氏
テーマ 吉田桂二の木造建築学校〜木造住宅のキホンを学ぶ〜

 連合設計社 市谷建築事務所を率いて50年間設計に携わっている大御所であるが、快く講師をお引き受け頂き気さくにお話し頂いた。直接お話を伺う貴重な機会であった。 氏は自分の設計した住宅を「エコロジー住宅」と云い、環境の中の生態系を常に頭に置いて設計するという。世の中の自然素材や健康住宅を謳った住宅にも疑問を呈し、関係者の設計能力が無いことを痛感することから設計事務所経営の傍ら私設の木造建築学校を開講しておられる。
講義概略
 設計は練習が必要である。手を動かすことで上達していく、という方針で2003年から「木造建築学校」と終了後の「学院」を開講。各々2ヶ月に1回のペースで宿題、郵送による提出、採点、と添削を繰り返し、緊張感の中で実務を教えている。これも設計能力の不足した設計者が多いことを痛感したことからである。  住宅設計では常に真の環境共棲を目指しエコロジカルな住宅を作っている。このエコロジカル住宅に反するものとしては設備機器の過剰な自動化や過剰な使用、家と生活の密閉化、オール電化、資源や使用エネルギーの浪費、有害薬品接着剤の使用、等が挙げられる。以前は全設備費が工事費の10%位だったものが高価な照明器具等により20%超となっているという指摘もされた。 これに対し、氏が基本方針としているのは 1門は作らない 2広がり空間を作り触れあいを生む 3架構を露出して真壁にする 4架構を露出して軽量化する 5平面、高さ共に小さく作る 6内々空間の融合 7内外空間の融合 8通風を第一義とする 9全て引き戸 10大型収納部を作る 11空調機は1台とする 12ローコスト化 等。 非常に具体的な設計手法として、2階のプランを屋根がきれいな整形でまず決定、一間ピッチで梁をかけ架構を決めてから1階に下り、2階部分から下ろした架構に張り出す形で1階を計画する、というやり方を提示。またご自身で編み出された「間取り係数」を使って計画面積を算出する、という大変興味深い手法を紹介された。 最後に2件の木造住宅の実例スライドにより、丁寧で具体的な説明をして頂いた。 具体的な設計手法から生活の仕方、また生き方はどうあるべきか、ということにまで話が及び、3時間という時間が物足りず、まだまだお聞きしたく思える講義内容であった。
(大森尚子)











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みえ木造塾2007 第2回 講義記録
日時  H19年7月7日(土) 午後1時30分〜午後4時30分
場所  松阪地区木材協同組合 木の情報館(ウッドピア松阪内)
講師  藤澤好一氏
テーマ 「工務店の戦後史」 〜地域住宅生産システムの形成過程〜

講義概略
昭和20年代後半から30年半ばにかけ戦後の復興を向かえ住宅の需要が増えたが、物資難の なか工務店は資材調達に苦労をし、また復興インフレも起こり資金難の問題を抱えていた。 昭和30年代後半より電動工具・新建材が導入されはじめる。 昭和40年代から50年にかけプレハブ住宅が出現し、住宅ローンが利用出来るようになり 高度経済成長へと発展してゆく、住宅着工件数も100万戸を超え、大工も85万人程いた。 住宅メーカーが頭角を現し、住宅メーカーの指定工事店となる工務店も増え始める。 オイルショックを迎える頃、ツーバイフォー住宅が出現する。 昭和50年代前半にプレカットが出始めるが利用戸数は低迷を続けていた、逆に大工は100 万人に迫る勢いで増加していた。 昭和60年から平成初期にかけバブル景気となり需要は増えるが、工務店は人手不足を向かえ る事となる。 人気職であったはずの大工にも陰りが見え始め10代、20代の若年層が減り80万人となる その後、バブル景気も終了し低迷期へと移り多くの工務店が姿を消してゆく事となる。 この頃からプレカットの需要が徐々に増え始める、現在都心部では90%がプレカットの導入 である。 一方、大工は右肩下がりに減少を続けている。 現在ではネットワーク化・FCとしての工務店、質としての工務店が見られる。 プレカットがもたらしたものとして 価格競争化、金物化、短期化、簡略化、外注化、電子化、パッケージ化、商社化、技能の分化 などが上げられる。 合理性の追求 ――― 分業と非熟練による徹底したマニュアル生産方式 合理性がもつ非合理性 ――― 大量生産が及ぼす影響  環境、人間性 その結果「マクドナルド化」してしまう住宅業界 そうならないためにも職人技能者の育成訓練が必要不可欠である。 最後に近頃のプレカットにはツインターボやハイブリッドなるものがあるらしい。 驚きだ・・・











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みえ木造塾2007 第3回 講義記録
日時  H19年8月4日(土) 午後1時30分〜午後4時30分
場所  松阪地区木材協同組合 木の情報館(ウッドピア松阪内)
講師  村尾 欣一氏(建築家・越後にいきる家をつくる会代表)
テーマ 「100年使える木造住宅」         〜越後にいきる家をつくる会の取組み〜
資  料 木を生かす −計画スケッチ集−(全58ページ)
略  歴 1945年新潟市生まれ。関東学院大学卒。 京都建築事務所、新発田総合高等職業訓練校を経て、新発田
      職業能力開発短期大学校の住居環境学科教授を歴任。

講義概略
木を生かす
 居住性を高めるための科学的な設計手法を駆使することは当然ながら、        他の設計事務所や建築家と異なるところは、「木を生かした設計をどのようにするか」と言うことです。言い換えれば「いかに大工技能を生かした設計をするか」言うことに尽きます。 それは建築の設計技術の歴史は、たかだか100年(日本の住宅設計はせいぜい50年)に過ぎませんが、日本の「木を生かすための大工技能は」1000年の歴史を持っているからです。しかし最近は大工の出番がどんどん減って、代わりに機会が主人公になりつつあります。そして建築家や設計技師も大工の技能をだんだん信用しなくなってきています。         ところが日本の「木を生かす」大工技能は世界に誇る素晴らしいものが有ります。私達の家造りは「木を生かす」ために「大工の技能をいかに生かした」設計をするか、が大きなポイントになっています。大工の技能と設計の技術が統一されたとき「木の持つ個性と味」がいかんなく引き出されます。         設計の出発点は「住まい手の人格」と「敷地と木の持つ個性」あるいは        「地格と木格」を知ることです。三つの個性が融合して「どのような木組をするか」と言う架構への発想へつながります。設計の基本コンセプトは        「単純で(虚構を廃止)強く(骨格をしっかり)美しい(表情のある)家」        です。創案は抽象的なイメージからスケッチを経て具体的な空間や架構に        表現され、住まい手と大工を含めた三者で共有されます。         この考え方が、村尾先生の「木を生かす」基本的な考え方となっているそうです。
「こまくさ保育園」から「越後にいきる家をつくる会」へ
「こまくさ保育園」は県産材86%、国産材率は94%。 これが「越後にいきる家をつくる会」の発足のきっかけになった「こまくさ保育園」の木材使用率だそうである。 斑鳩建築の小川棟梁と組むことで木造伝統構法の世界に魅了され 「木を生かした家造り」言い換えれば「いかに大工の技能をいかに生かした家造りをするか」をコンセプトに保育園建設に着手したこと。 法隆寺のように長持ちする保育園をつくりたいと考えたこと。 その結果、先程の木材使用率となり、その話を聞きつけた県森連が見学に きたことで、県産材を広めたい県森連、村尾先生達も県産材を使って日本の伝統構法での家造りを進めたい。お互いのニーズが合致し、そうした志を持つ大工と設計者、製材所、工務店、林業関係の方をつなぐネットワークを設立しようと「越後にいきる家をつくる会」が2001年に発足したそうです。
「こまくさ保育園」は法律と保育士との交渉と闘いへ
法令集の考え方は100年200年の建造物の想定はしていないから小川棟梁    は全く妥協はしない。役所を巻き込み何回も検討を重ね、中でも消防署は一番大変だったらしく「特別な解釈があった?」ようです。         さらに大変だったのは、保育園の保育士が全員反対していたことのようです。「もっと普通でいい。」、「そこまですることはない。」保育士全員と険悪な中でも理事会だけには理解され、その結果「こまくさ保育園」が完成したようです。竣工して6年、今ではこんな保育園はどこにもないと言われる建物になり、木造伝統構法の素晴らしさを伝えているとのことです。
木の可能性     
現代は今までの常識が常識でなくなる時代。例えば「橋」ですが、大工の技術を生かして、大規模でなければ木造の橋でも十分に通用します。スイスに実際に行き観てきました。発想の転換が必要です。設計者が今あるマニュアルの中で木造をやっていこうとすると発想が限定されますが、それを超えたとき、木材ほど可能性のある材料は無いと思います。        これからが面白くなります。規模は小さくても、公共ではなくても、 「木」でできる可能性を追求し、間違いないものをしっかり行っていく時に道は開けると言う、村尾先生の確信に満ちた言葉が印象的でした。 以上












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みえ木造塾2007 第4回 講義記録
日時  H19年9月1日(土) 午後1時30分〜午後4時30分
場所  松阪地区木材協同組合 木の情報館(ウッドピア松阪内)
講師  久住 章氏(左官職人)
テーマ 「壁の遊び人」 〜左官・久住章の仕事〜


講義概略
講義始めにスライドで久住氏の携わった現場、及び世界各国、日本の左官仕事の説明を受ける。左官仕事の版築と練塀の違いを教わる。版築は枠を作って土を突きこみ何層かに重ねる。練塀は枠なしで築く。また日干し煉瓦を使用した塀の説明もあり、左官の奥ゆかしさを学んだ。えつり壁についても説明があり、竹の太さ、かきかた、土はなぜ腐らすか?などの話があり、久住氏が竹小舞だけで建物を倒壊から守るくらいの気持ちでつくるという話があり、すごく熱意も伝わり、このような気持ちで仕事に取り組まなければいけないと感じた。実際に小舞組のサンプルを持参され、すごく粘り強かったのには塾生誰しも驚かされたに違いない。 竹小舞での土の重要性も教わり、丈夫な土、すなわち粘りがあり、収縮率が少なく、水に強い土が最適だということです。 職人とは、建築(住まい)を飾ることを求めた人たちの為にできた職業だという事も教わった。











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みえ木造塾2007 第5回 講義記録
日時  H19年10月13日(土) 午後1時30分〜午後4時30分
場所  三重県科学技術振興センター林業研究部
講師  山辺 豊彦氏 (構造家)
テーマ 「シリーズ・今日から使える木構造パート5」 継手・仕口の破壊メカニズムを知る。
 日常の常識、あるいは根拠のない勘で仕事をする事からの脱出を目的とし、目で見て、肌で感じ自分の常識、勘を自信のもてる仕事につなげる。構造計算の初歩の理解と、実大強度実験を通じ、継手・仕口の急所を知る。それにより、木造の急所を理解克服し、強い木構造につなげる。

講義概略
‐実践概略‐
木造建築の急所とも言える継手・仕口は古くから、創意工夫を重ね、今なお議論の的である。 どういった継手をすればよいのか、金物は本当に強いのかなど現在も疑問はつきません。そうい った疑問を少しでも取り除ければというのが、今回の実験である。尚、今回の実験は一般的な接 合法法のみならず、伝統的な接合方法にも着目した。

<実験の種類> 別紙タイムスケジュール参照

1 梁と梁を継ぐ
  梁の曲げ試験・・・3体 (変位および強度を測定)

2 柱と梁を継ぐ
  四方差の柱の曲げ試験・・・2体(柱径による比較、変位および強度を測定)

3 土台と柱を継ぐ 
  柱脚の引張試験・・・5体   (強度を測定)


<実験を終えて> 
 試験結果については、第6回講義にて、くわしく解説をしていただく。
多くの試験を行うため、センターの時間協力や試験順を変更などで効率よく行うことができた。、  試験体そのものの基本条件がそれぞれ異なることもあり、乾燥条件による比較は予想とはずれがあったが、それも木材がもつ現実とも感じた。これがよくて、あれが悪いといった感覚的な判断だけでは決め付けられない奥深さを感じた。

みえ木造塾2007 第五回 実践活動タイムスケジュール                           塾生用

13:00〜 受付 (追掛大栓・四方差の組み方を見学)
13:30〜 塾長挨拶・講師紹介・林業センター職員紹介(5分) 追掛のセット(20分)
13:35〜 林業センターの挨拶 (10分)
13:45〜 実験の解説 (3分)       
13:48〜 今回の実験の見所解説 (7分)     
13:55〜 実験@ 梁×梁(追掛け)        5分
       解説                 8分 
            実験A 梁×梁(中温)         5分
       解説                 8分
       実験B 梁×梁(高温)         5分
       解説                 8分
14:34〜 実験C 柱×梁(4寸)         5分
       解説                 8分
       実験D 柱×梁(5寸)         5分
       解説                 8分  
   15:00〜 ――――   休憩   ―――――  (15分)
   15:15〜 実験E 土台×柱(込み栓)杉中温    5分
       解説                 8分
       実験F 土台×柱(込み栓)杉高温    5分
       解説                 8分
       実験G 土台×柱(込み栓)桧高温    5分
       解説                 8分
       実験H 土台×柱(HD)杉中温     5分
       解説                 8分
       実験I 土台×柱(山形PL)杉中温   5分
       解説およびまとめ           (10分)
質疑回答               (8分)
16:30          終了   
〜17:00   CPD配布・懇親会案内・後片付け












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みえ木造塾2007   第6回 講義記録
日時  H19年11月10日(土) 午後1時30分~午後4時30分
場所  松阪地区木材協同 木の情報館 (ウッドピア松阪内)
講師  山辺 豊彦 氏

テーマ:シリーズ 今日から使える木構造パート6
    〜実験結果を現場につなげる〜

前回10月に行われた実大構造実験結果データ結果の解説から架構の検討・木造における法改正の留意点など前回に続き山辺先生に幅広くお話いただきました。


講義概略
・四寸角柱に四方差しを行うと断面積が0.004u程度しか残らない為、壁量を
 増やすなどの対策が必要
・継ぎ手を設ける場所は曲げ応力の小さい箇所に設けるべき
・土台・柱の込栓+長?接合においての壊れ方として1.込栓のせん断2長柄の
 せん断3土台の割り裂きなどがある
・横架材の検討において@強度A変形(居住性)を考える、その時梁の変形
 増大係数を2としてスパンの1/250以下とする
・構造に対する力の流れは床→横架材→耐力壁→柱→基礎と流れる、故に床
 壁などの連続性が大事であるためスキップフロアや大きな吹き抜けなどを
 設けるには工夫が必要である
・構造計算偽装問題で明らかとなった問題とその対応については、あまり知
 られてはいないが、パワービルダーにおいても1000棟あまりの木造住宅で
 偽装が発覚している事実があったとの事、又消費者保護の事柄から保険や
 供託などの資力確保措置の義務付けの制定(平成21年10月1日)
・小規模木造住宅に係わる構造関係審査の省略見直しにより考えられる伝統
 型木造住宅対する影響に対しては公的試験場などで試験を行い認定書を
 取得する作業を独自で行う事も視野に入れておくことも必要とアドバイスを
 頂いた。












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